「女性はゲームをしない。」
長い間、暗黙の了解というか、当然のことの様に思われてたと思う。
でも、出張に行くと必ず目にするのだ。
「ニンテンドーDSを持っている女性」を。
空港や飛行機の中、駅のホームや電車の中。
必ずDSを持っている女性を何人か見かける。
別に「オタク系」の女性じゃない。
いたって普通の女性だ。
これは、何もDSがブームになった最近の話じゃない。
DSが発売されて間もないころ(もちろんDSLite発売前)から度々目にしてたことだ。
今ではゲーム専門店でもDSコーナーの前にいる女性をよく見かけるようになった。
(不思議とPSPを持っている女性には出くわしたことが無いなぁ。でも男性が持ってるのは大体PSPなんだよねぇ。)
今まで
「女性に向けたゲーム」っていうのは度々発売されてる。
でも、そのほとんどが「漫画」「アニメ」を好む一部の女性に向けてつくられたものだったりする。
(こんなのとか、こんなの。)
別に「漫画」「アニメ」を好む女性に偏見があるわけじゃない。
私の身の回りにも「漫画」「アニメ」をこよなく愛して、「ゲーム」も遊ぶ女性の友人がいる。
まぁ、そういう人が「ゲーム」をするのはなんとなくわかる気がするのよ。
要は「ゲーム好きの男性」に近い感性を持っている「女性」なのでしょう。
でも、大半の女性は「ゲーム」に興味が無い。むしろ「ゲーム」に対して嫌悪感を持っている人も少なくないと思っていたんだけど、、、
それなのに、多くの「DSを持っている(普通の)女性」に出くわすのはなぜなんだろう?
そんなDSを持った女性達が何を遊んでるのか気になって、横目でチラッと画面を見ると、
「おいでよどうぶつの森」
「nintendogs」
「脳トレ」
大体この辺り。
どれも女性ユーザーの比率が高いとされるものだ。
でもこれらのゲームは、前述の「女性に向けたゲーム」とはかなりタイプが違う。
「女性に向けたゲーム」としてつくられているものは
「ストーリー」とか
「キャラクター」(美少年)が重視されている。
でも女性がDSで遊んでいる上にあげたゲームは、ほとんど
「ストーリー」性が無いものばかり。
「キャラクター」は、かわいさはあるにしても、
「美少年」は出てこない。
「女性に向けて」つくっているはずのものと正反対だ。
上に書いた一文、
女性が遊んでいるのは、ほとんど「ストーリー」性が無いものばかり。
「キャラクター」のかわいさはあるにしても、「美少年」は出てこない。
これ、
反対にしてみたらちょっとおもしろいことが見えてくる。
男性が遊んでいるのは、ほとんど「ストーリー」性が有るものばかり。
「キャラクター」はかわいい「美少女」が出てくる。
あら。これって、まさにその通りじゃない?
ストーリー重視で、キャラ(美少女)も重要。
昨今のゲーム、特に「男性コアユーザー」に向けたゲームって、大体これに当てはまるんじゃないかな。また「コアユーザー」もそのようなゲームを望む声が多い様に思う。
上で「大半の女性は「ゲーム」に興味が無い。むしろ「ゲーム」に対して嫌悪感を持っている人も少なくない…」って書いたけど、その
「ゲーム」ってこれのことじゃない?
つまり、
女性が興味なし、もしくは嫌悪するのは、『「ストーリー重視」の「美少女」の出てくるゲーム』なんじゃないのかな。
まぁ、「美少女」は置いといても、「ストーリー重視」って、女性に向けたゲームでは必須要素のように思われている気がするけど。
でも、実はこれって結構間違った考え方なのかもしれないぞ。
私の嫁も、いわゆる普通の女性(ゲームに対して嫌悪感を持っている人)だ。
でも私がDSを買ってからというもの、嫁はほぼ毎日DSで遊んでる。
最初は「脳トレ」や「えいご漬け」の日々だったが、
最近のお気に入りは
「押忍!闘え!応援団」。
私が「果敢に応援」(ノーマル難易度)をクリアしてひと段落したので、(どうせクリア出来ないだろうと思って)渡してみたら、あっという間に「華麗に応援」(最高難易度)までクリアしてしまった。今では最高格付けに達するまでにやりこんでしまった。
この「応援団」はリズムアクションゲーム。曲が始まる前にストーリーがあり、それが結構楽しいし、このゲームの特徴でもある。
でも、面白いことに嫁はそのストーリーを1度も見たことが無いのだ。
ほぼ、コンプリート近くまでやりこんでいるのに、である。
ストーリーは全てスキップ。
全くストーリーには興味が無いらしい。
嫁にとってはゲームの「プレイ」が楽しければよいのだ。
でも、これって、いたって正しいことじゃないかな。
よくゲームをする人(コアユーザー)には、ストーリーを重視する人が多いように思う。一番人気のジャンルが「RPG」なのもそれを裏付ける。
「ゲーム」がもっと、たくさんの人に受け入れられる為には、「ストーリーが重要だ」とか、「感動するストーリーを」という意見もよく目にする。
でも、私はこれらの意見に釈然としないものを感じてる。
私は
「ゲームにストーリーは必要ない」と思っているから。
別にストーリーのあるゲームを否定するわけじゃないのよ。
私も「RPG」はプレイするし、ストーリーを楽しむのがメインの「アドベンチャーゲーム」や「サウンドノベル」は好きなジャンルだ。
でも、「ストーリーを語るメディア」として「ゲーム」を見ると、どうも、もどかしさを感じてしかたがない。
例えばRPGで言えば、「敵」が出ないといけなかったり、主人公は世界を旅しなきゃいけなかったり、ダンジョンが無きゃいけなかったり、映画や小説ならば場面転換でスピーディーにストーリーが進むところを、いちいち移動して行かなきゃいけなかったり…etc.
「ゲームであるがため」にストーリーが限定されてしまう印象がある。
ゲームとしての部分が「ストーリー」を阻害してしまう、そんな風に感じる。
また逆にストーリーを重視すると、ストーリーがゲームを阻害する場合もある。
「ゲーム」を「ストーリーを語るメディア」としてみると、やっぱり「映画」や「小説」には自由度の面でかなわない。
「ストーリー」を楽しむのなら、「映画」や「小説」等の方が数段優れていると思う。
もちろん、中にはゲームとストーリーが上手く絡み合った作品もある。
それらには決して「小説」や「映画」では味わえない、「ゲーム」ならではの面白さや感動があるというのもわかる。
でも、それが味わえるのも、ゲームプレイの面白さがあってこそなんじゃないかな。
「ゲーム」をしない代名詞であった多くの「女性」がプレイしているゲームにはほとんど「ストーリー」がない。
というか必要ないんじゃないかな。
彼女らが「ゲーム」をプレイする理由は“ゲームが楽しい”からだ。
ストーリーの良さ、とか(物語による)感動などは「ゲーム」に求めていないんだと思う。
ここ数年のゲームはハードの表現力が上がったこともあって、映画的な表現を取り入れてきた。
「映画的なゲーム」ってものがたくさん世に出された。
でも、、、なんだか幻想を持ってたんじゃないかな。
「ゲーム」は「映画」を超えるって。
映画並みの映像、映画並みのストーリー。
目指せ「映画」、追い越せ「映画」。
コアユーザーはそれを支持するし、そういうものが好きなユーザーが多いはず。
「映画的なゲーム」こそが、多くのユーザーに満足してもらえるものであるはず。
そんな幻想があったんじゃないかな。この何年間のゲーム業界に。
でも、結局はそれは、閉じた方向に向かってただけだったのかもしれない。
「多くのユーザー」だと思っていたのは、実は限られた「一部のユーザー」でしか無かったんじゃないか。
その方向性に向かうのも正しいのだけれど、その一方行だけじゃなくて、多種多様な方向性をもったものが「ゲーム」だと思うんだけど。
だって、「映画」と「ゲーム」は違うでしょ。
「ゲーム」にとってストーリーは重要な要素ではない。
実際ここ最近ミリオンセラーを記録したソフトのなかで「ストーリー重視」ものはほとんど無い。
「ゲーム」でしか味わえない感動とは、「ゲームプレイ」そのものなんだと思う。
ゲームがコアな方向に行き過ぎて一番重要なことを忘れてしまっていたんじゃないだろうか。
女性がゲームをしているのを見てて、なんだかそんな風に感じてしまった。